イギリスを回りながら、この国の人々の考え方を凄いなと感じた場所がチェスターです。今迄あまり耳にしなかったチェスターと言う北部ウエルズに近い小さな市ですが、そこでは実に２０００年前に建造されたローマ時代の城壁(写真１）を今も歩道として使っているのです。また市の中心街は中世の時代そのままで、この土地の人達の保存に対する考え方が私達日本人の考え方とかなり違うのには驚かされました。町の中心街の建物群は中世の面影をそのまま残しショッピング街として今でも利用されています。（写真3,4）
道の真ん中に立つと、中世のチェスターのにぎやかな通りの中に自分が今立っている様な不思議な感じがします。建物は１階の回廊と２階の回廊に沿って商店が並び観光客などの買い物客が通路として歩いています。 中世では城壁内の狭い街を二階建ての通路を作る事で効率良く使うほど賑わっていたそうです。
チェスターはかっては北部イングランドの港町として栄えていましたが、産業革命の時代に入ると光を失って、町の発展は中世のままで止まり、時代の流れに取り残されてしまいました。しかし取り残されたが故中世の街並が今も残り、観光名所として脚光を浴びる事になり多くの人が訪ねて来て,まさに昔の街の賑わいを再現している感じがします。
市内では今でも古代ローマ時代の多くの遺跡が発掘されていますが、その遺跡を市の観光課のローマ兵の格好をした職員が、野外授業の子供達に歴史的な遺蹟を見学しながら説明をしていました。（写真2）　
市の中心にあるチェスター大聖堂はこんな地方にあるにもかかわらず、すばらしい建築物で、寺院内部の飾りと綺麗なステンドグラスが印象的でした。（写真5、6）　建物の一番古い部分は１０世紀に建造され、更に数百年を掛けて改築されて現在の寺院が出来上がりました。しかし中世の繁栄を今に誇るような寺院です。