日本国の歴史を紐解くと必ず飛鳥に始まります。以前修学旅行をはじめ一二度訪ねたことがありましたが、最近は高松塚やいろいろな古代の施設や建物跡が発掘されるなど、新たに古代の歴史が賑やかさを増してきました。新聞やテレビで新しい発見が報道されるたびに訪ねてみたいと思っていましたが、ちょうど地域の仕事が一段落したのを機会に夫婦で訪ねることにしました。　今回はあまりメジャーでない寺院や埋蔵文化などもたずねて見る事を主な目的ににしましたが、とは言えどれもこれもその古さや見事さは実に興味を引かれるものがあります。
東大寺や春日大社などは今回はタクシーで駆け足で見て回りました。また次の機会にゆっくり回りましょう。
その最初の訪問は新幹線の京都駅から近鉄で奈良まで来ると降りた駅の目の前が興福寺です。

奈良の代表的な五重塔で高さが５０ｍあります。法隆寺の五重塔も見事ですが,興福寺のこの塔は奈良の玄関を飾るにふさわしい堂々とした風格があります。
今更この寺についての説明はおこがましいので止めますが、奈良に来ると一番に目に付いて来てしまいました。奈良市には規制で高層建築なるものが無く、遠くから見えるので奈良市の景観を決定している基準のようです。今回は有名な興福寺の境内の中でもあまり目立たない南北の円堂と平安時代に立てられた三重塔を紹介します。これらは五重塔の影で見過ごされることが多いようですが、北の円堂と三重塔は国宝になっていますが、改めて眺めると本当にきれいです。内部の仏様の像などは撮影禁止でしたが、国宝級や重要文化財の仏像が並んだところは壮観です。
改めて日本文化の価値を見直した気がしました。
奈良の古い寺院などのいくつかは遺産群として世界遺産に登録されていますが、日本が誇れる文化遺産ですね。ただ奈良に来て感じたのはどの寺院も神社も自然と一体化しているような存在で、京都の華やかな都市型の文化遺産とはまた違った趣を持っています。

東金堂です。室町時代に再建されました。飛鳥時代の形式により建てられています。

南円堂は８１３年の創建ですが４回も再建され現在の建物は１７４１年江戸時代に建てられたものです。

　元興寺の中門です。あまり観光客も来ないのか、ひっそりとしていました。

あまり観光客には知られていない世界遺産がこの元興寺です。　　この寺は西暦５８８年に飛鳥の地に建てられたわが国で最初に建てられた仏寺である法興寺即ち別名飛鳥寺が７１０年の平城京遷都に合わせて７１８年に移されて名前も法興寺から元興寺となりました。当時は奈良の飛鳥と呼ばれたそうです。
移築当時の寺の規模は東西の五重塔と金堂、講堂、僧坊、食堂などの大きな伽藍を持った寺で、敷地の大きさも東大寺の４千町歩に対し２千町歩と半分とは言え薬師寺、興福寺、の１千町歩、法隆寺の５００町歩と比較するとその規模の大きさが偲ばれます。
現在三つの国宝建築を残しています。
創建当時に使用された瓦(上の写真）が移された時もそのまま使用され、一部は現在の本堂にも数千枚が使用されています。当時百済から派遣されて来た僧や寺工達が建てた寺院でありました。当時はは平城京の文化を背負う大きな役割を担った寺院のひとつでした。
　興福寺から距離にして５００ｍぐらいしか離れていませんし、一度見る価値のある寺です。ただ現在は古い伽藍の一部しか残っておらず、大半は町屋の中に埋没しわずかに住宅街の中に礎石を残すのみになっている所もあります。
重要文化財の阿弥陀如来坐像、小型の五重塔をはじめ多くの重要文化財が残っていますが、内部では撮影禁止なので此処では紹介出来ないのは残念です。

薬師寺は斑鳩の里にありますが、新薬師寺は奈良市のはずれにあります。新しい薬師寺かと思ったのですが、新というのは霊験あらたかのあらたかという意味だそうです。したがって平城京の西の薬師寺とは関係は無いのです。
しかしこの寺は西暦７４７年に創建されという事で、当時は東西の塔を持ち金堂と併せて１２，０００坪なる伽藍を持っていたそうです。今は本堂が国宝に、また中にある薬師如来坐像と十二神像(上写真はバザラ将軍）が国宝になっています。
かっての大規模な面影は無く今はこじんまりとした寺院ですが、創建してから３３年後に落雷で焼失したそうで、その後は鎌倉時代などで修復されましたが、規模は小さくなってしまいました。

　今回の奈良旅行では肝心の東大寺や春日大社を計画していませんでした。あまりにも有名で前にも何回か訪問していましたのであえて外したのですが、やはり春日大社にはお参りしておこうとタクシーを頼んで約１時間半かかって東大寺周りをうろうろしました。タクシーの運転手さんが案内係でしたが、興味あることを幾つか説明してくれたのですが、これがまた疑問を呼んで、翌週大分県の宇佐まで出かけることになりました。それは平安の７４９年九州の宇佐八幡の神様が奈良に滞在したと言うわけで、それが手向山八幡宮です。さてどんな関係で神様が奈良に来ていたのかがクエスチョンです。
　こりゃ宇佐に行って調べてみなければと言うわけです。東大寺は今年の１１月の正倉院展を機会に再び訪ねてみましたが、何べん来てもそのスケールの大きさに驚きの連続です。

(国宝）さすが大きい。建物前の人たちが蟻のようです。木造建築で４６ｍの高さは建築技術の凄さを見せ付けます。

東大寺の参道は鹿がうろうろ、観光客に慣れているので餌を求めて寄ってくる。寄られた方はオロオロ、持ってた餌をやると他の鹿まで集まって来て身動き出来ぬ有様です。

国宝東大寺鐘楼、その大きさは下にいる人と比較してください。

三月堂は７４６年建築と言われ東大寺では最古の建物で国宝です。堂内には国宝・重文併せて１６体の仏像が安置されています。

案内してくれた運転手さんの話では、この木の葉はタラヨウ（多羅葉）と言って葉の裏に字を書くと黒くなり字が書けることから、この葉っぱに字を書くのに利用したと言うことから　「はがき」の語源になった、と言う事であったが？？うーん葉書ですからね。そうかもな？？。

春日大社は７１０年に藤原不比等が氏神様を祭ったことから始まりました。長く続く参道には多くの石灯籠が並び周りの森の中は静寂が漂います。厳かな雰囲気が良いですね。